トータル・リコール(2012年)

映画

ジャンル:家庭内暴力系SFアクション、格差社会系ドラマ
監督:レン・ワイズマン
主演:コリン・ファレル

見どころ

鬼嫁に地の果てまで追いかけられる映画です。
文字通り、この嫁は地の果てまで追ってきて、地の果てが「ひっくり返って」も追いかけてきます。
古事記や日本書紀に登場する、国生み神話の夫婦神「イザナギ」の嫁である「イザナミ」を連想した映画評論家は少なくないはずです。

人類にとって本当の恐怖とは、女が男を鬼の形相で追いかける姿。
それがよく分かる映画となっています。

どうしてそういうことになったのか?
この映画の舞台は近未来。
化学戦争の結果、地球には人間が住める場所がほとんどありません。
裕福層が暮らす「ブリテン連邦(UFB)」と労働者階級が住む「コロニー」です。

ブリテン連邦はブリテン諸島(イギリス)で、コロニーはオーストラリアです。
仕事は主にブリテン連邦で行われており、労働者は毎日、コロニーからブリテン連邦まで「フォール」と呼ばれる地下エレベーターで通勤します。

コロニー生まれの人間は身分が低く、ブリテン連邦出身の人の方が、出世も給料も高い設定になっています。
世界が崩壊してなお、人は出身地による差別を続けているようですね。

そんな迫害を受ける労働者階級のストレス解消法が、「リコール社」による「夢」の販売です。
高度なバーチャルリアリティを提供するもので、戦争により崩壊した世界でも、
ハワイ旅行や宇宙旅行、中世ヨーロッパ貴族やアクション映画の主人公のような体験ができます。

バカバカしいと思う人もいるでしょうが、
現代だって酸素吸入とかメイド喫茶みたいなバカバカしいサービスが普及しています。

人の欲望とはよくわからないものです。
どうして性懲りもなく差別をするのか?
どうしてメイドを求めて喫茶店に行くのか?

人は誰かでありたいのです。
そしてそれは、相手をコントロールできる立場でありたい。
たとえそれが「身分」や「サービス」や「夢(バーチャル)」であっても、
人は個別性と関係性を都合よくできることを幸福と思いたいのでしょう。

名言

私は彼の妻よ。

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