難関・有名大学を卒業しても、その学生の将来は遺伝で決まる|行動遺伝学が突きつける残酷な真実

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最近、大学に限らず教育現場を騒がせているのが「行動遺伝学」の研究結果です。

それを分かりやすくまとめた書籍が、世界中で大反響となっています。
例えば、エリック・パーカーの「残酷すぎる成功法則」は話題にもなったので、就活の参考に読んだことがある学生もきっと多いでしょう。


他にも、日本の行動遺伝学の研究者である、慶應義塾大学の安藤寿康氏が書籍「日本人の9割が知らない遺伝の真実」でまとめています。
今回の記事の内容を詳しく知りたい学生は、ぜひこれらの本を読んでください。

優良学校・優良大学で教育を受けても、結局は本人の遺伝子が将来のステータスを決める

簡単に言えば、そういうことです。
にわかには信じがたいかもしれませんが、科学的に調査をした結果がこれ。

同じ遺伝子を持っている存在として一卵性双生児があります。
世界中の研究チームが、かなり以前(20世紀中頃)から「双子を引き離して育てたらどうなるのか?」を調査してきました。
つまり、人間の将来を決めるのは「氏か育ちか?」を知りたいわけです。
もちろん、双子を意図的に引き離して育てることはできないので、両親の都合や事件事故等で「離れて暮らさなければならなかった一卵性双生児の兄弟・姉妹」が対象になります。

例えばこういうケース。
一卵性双生児である兄の方は、裕福な里親に引き取られて何不自由なく暮らし、町でも有名な小中高の学校を卒業し、大学も一流大学を卒業することができた。というもの。
一方の弟は、さほど裕福ではない里親に引き取られ、住んでいるところも貧乏な町。不良仲間に囲まれながら育つものの、一応は小中高の学校を出て、仕事でお金を貯めながら三流大学の卒業までこぎつけた。というものです。

たしかにこの兄弟は、20代前半までに歩んできた人生は大きく違うと言っていいし、どちらかと言えば兄の方が「勝ち組」のような人生です。
ところがこの両者。お互いが30歳代になってくると、ほとんど変わらない社会的ステータス(所得や地位、人間交流)を築いていることが多いそうです。

例えばこの兄弟の場合だと、大学卒業後の弟は町の工場で働いていて、一方の兄は一流ビジネスマンだとします。
兄は一流大学を卒業することで、優良商社に就職できたのでしょう。
しかしこの兄は、大学卒業時には優良商社に就職していても、ある時から「仕事がつまらない」などと言い出し、脱サラして仲間と一緒に雑貨店を営んでいたりする。
そして結局、両者が30歳ぐらいになると、同じような社会的ステータスになるというものです。

逆に、若い頃に勝ち組人生を送ってきた兄が、そのまま一流ビジネスマンとしての人生を送るケースの場合はどうか?
一方の弟は、三流大学を卒業し、地元の工場で働いていたとしましょう。
しかし、この弟は勤めている工場でメキメキと頭角を現し、その生産力向上や革新的な作業工程を考えついたりする。
結果として、30歳ごろになると兄のような一流ビジネスマンと同じ社会的ステータスを獲得するケースが多いというわけです。

研究調査によれば、出身大学のレベルと所得との関係は小さいとされています。
もちろん、「高卒」と「大卒」には差があります。
ですから、学校で勉強することに意味がないとか、大学で勉強することはムダだというこではありません。
しかし、大卒のなかでも優良大学を卒業したからと言って、高所得者になれる可能性が増えるわけではないのです。
問題は、その人が大学で何を学んだのか? であり、その学び方に個々人の遺伝子の影響が出てくるわけです。
つまり、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児であれば、一流大学を出ようと、三流大学を出ようと、似たような人生を送ることになります。

脳も体を構成している身体の一部|遺伝の影響を受けないわけがない

とは言え、同じ遺伝子を持っている人同士の「一致度」は、当然のことながら100%ではありません。
では、どれくらいの一致度があるのか?
科学的な調査結果によると、それは低くても70%、多くの場合90%だとされています。
これは極めて高い数字です。

それはまるで、双子の兄弟の「身長」や「体重」、「性格」といった他人が外から評価しても分かりやすいものが酷似することと一緒。
むしろ、行動パターンや仕事の好み、結婚相手や所得といった「社会的ステータス」にだけ個性があるはずだ、と考える方が無理があります。

なぜなら、行動パターンや好みといったものを決めるのは「脳」の影響ですが、その脳も身体の一部です。
身長や体重、手足の形といったものが一卵性双生児で似ているのであれば、体の内部、脳の機能も一緒と考える方が自然ではないですか。
同じ身体構造物なのですから、そこから発生する「考え方」「嗜好」「幸福感」も同じになるのは当然のこと。

裏を返せば、家庭環境や学校教育、友人・人間関係が「社会的ステータス」に影響するのは10%〜30%ほどしかないという意味でもあります。
つまり、その人がどのような社会的ステータスを得られるか? は、その人がどのような遺伝子を持っているかに左右される部分が極めて大きいのです。

行動遺伝学は残酷な話ではない|人は、本当に好きなように生きれば良いという話

ですから、「将来、お金を稼ぎたいから大学に行く」というのであれば、それはやめた方がいいのです。
プロサッカー選手やプロ野球選手になるためには優秀なコーチが必要ですが、そもそも遺伝的に高い運動能力が必要であることが分かっています。
どれだけサッカーが好きでも、運動能力が人並みではプロにはいけません。天性の運動能力が求められます。
それはスポーツを経験した人なら誰もが知るところでしょう。

それはお金を稼ぐことも同様です。人並みでは無理なのです。
スポーツは外からでも簡単に判断できますが、お金を稼ぐ能力は判断が難しいだけです。
お金を稼ぐことが好きで、どれだけお金持ちになることに憧れていたとしても、その道で成功するためには「お金を稼ぐ」遺伝子が君に備わっているか否かが重要です。

実際、お金を稼ぐ人は「お金を稼ぐ性格・遺伝子」を持ち合わせていることが分かっています。
だから上述したような一卵性双生児の兄弟の例でも、ある程度成長してくれば同じ所得水準になります。
最初は高所得であっても低所得の生活を選んだり、低所得であっても高所得になる方法を探し出すわけです。
その所得水準が、本人にとって幸せだと思っているからです。

つまり、お金を稼ぐ性格でもないのに、無理をしてお金を稼いでも不幸になるだけ、と言えます。
スポーツで言えば、運動能力が高くもないのに、無理してトレーニングしても体調を崩すだけです。
たとえ幸運を掴んでプロ選手になれても、長続きしないし、嫌な思いをするだけの可能性が高いのです。

行動遺伝学を解説している著者の方々も、
「運命は決まっている」
「勉強しても意味がない」
と述べているわけではありません。
その人には、その人なりの幸福な生き方がセットされています。
これを予め知ることはできません。
それを見つけ出す行為が、大学で勉強することと言ってもいいでしょう。

この記事の詳しい情報は、以下の本で紹介されています。
大学生活を充実させるうえで参考になるので読んでみてください。

 

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