シン・ゴジラ(2016年)

映画

ジャンル:行政学系ドラマ
監督:庵野秀明
主演:長谷川博己、石原さとみ

見どころ

なぜか日本国内では大ヒットし、やっぱり国外ではヒットしなかった作品です。
プロ野球界の名将・野村克也監督は、
「勝ちに不思議の価値あり、負けに不思議の負け無し」
と言いました。

これは映画にも言えることで、
なぜかヒットした作品がある一方で、
ヒットしなかった映画には明確な理由があります。

シン・ゴジラが国外でヒットしなかったのは、
この映画が行政執行をテーマにした映画だからです。
なので、日本の行政に関心がない人にとっては、
まったく意味不明の作品となります。

シン・ゴジラを映像作品として批判的に評論している人もいますが、
これはほぼ間違っています。
映画は撮っている対象が面白ければヒットしますが、
そうでなければヒットしません。
これはほぼ鉄則です。

問題になるのは、人々が「面白くない」と思うものは判断しやすいのですが、
「面白い」と思うものを判別するのは難しいということです。

逆に考えてください。
例えば「ドイツ」の行政に関わる解釈の難しさや、
法整備のダイナミズムをテーマにしたドイツ映画があったとして、
それを日本人であるあなたは観ますか?

映画の題材が怪獣ではなく、エイリアンだったとします。
そのエイリアンとシリアスに対峙するために、
ドイツの法律ではどうかとか、
お隣のフランスやオーストリアとの関係がどうのとか、
ドイツ人にとっては気になることでも、
事情がよく分からない外国人にとっては見たい映画とは言えません。

外国人でも観ようと思わせるためには、
そういった行政系の話は外して、
ヒューマンドラマやロマンスを入れる必要があります。

ところが、シン・ゴジラにはそんな要素は微塵もない。
徹頭徹尾、行政執行の様子をドキュメンタリー・タッチで撮っています。

シン・ゴジラは、初代ゴジラ(1954年)のリブートのような作品です。
いずれも、「ゴジラ」という謎の巨大生物の襲来の対処に困って右往左往する作品。
それだけに興味深いのは、65年経った今でも、
日本人は日本国内の行政の不備に関心があるということです。

日本人は政治に関心が低いと言われますが、
そんなことはないのかもしれません。

名言

礼はいりません。仕事ですから。

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