あなたは一般的な人よりも 「能力が高い?」「優しくて誠実?」|海外から日本人が「不寛容」「冷たい」と言われる理由 

その他

あなたは平均的な人と比べて、高い/低い?

日本人は、外国人と比べて「優しい」「おもてなしの心がある」と、自分たちでは思っています。

その一方で、海外の人からは日本人は「不寛容」だと評価されますし、そういう調査データもあります。
オリンピック招致で「おもてなし」をゴリ押ししましたが、
「日本人におもてなしの心なんてないじゃないですか? なんの冗談?」
というツッコミもありました。

国連は20日、2019年版の「世界幸福度ランキング」を発表した。日本は58位で、去年の54位から後退した。
156の国と地域で各3000人を対象に行われ、「1人当たりの国内総生産(GDP)」「健康寿命」「社会的支援の充実」「自由度」「腐敗度」「寛容さ」の6項目から分析されている同調査。トップはフィンランドで、デンマーク、ノルウェー、アイスランドと北欧諸国が続く。日本は過去最低の58位で、健康寿命は2位、GDPは24位と上位だったものの、自由度は64位、寛容さは92位と足を引っ張った。

“世界幸福度ランキング”後退の日本に足りないのは寛容さ?「みんな自分のことしか考えていない」2019.03.22 Abema Times

どうしてこのギャップが生まれるのでしょう?

それは、それぞれの国・社会において、各自が自分自身をどのように「自覚」しているか?
に考えるヒントがありそうです。

以下の質問に、皆さんはどのようの答えますか?

(1)あなたは平均的な人と比べて「リーダーシップ」が高いと思いますか? YES / NO
(2)あなたは平均的な人と比べて「仕事の能力」が高いと思いますか? YES / NO
(3)あなたは平均的な人と比べて「優しい」と思いますか? YES / NO
(4)あなたは平均的な人と比べて「誠実」だと思いますか? YES / NO

自分のことを「平均より能力が高い」と考える外国人。「低い」と考える日本人

人は、自分のことを「平均以上だ」と考えることによって、精神の安定を得ています。
もし自分のことを「平均的な人間以下だ」と思って暮らしていると、その人は鬱病まっしぐらです。

「私は◯◯については平均以上である」と解釈する心理。
人間である以上、「普通の人」であればそのように捉えるものなのです。
これを「平均以上効果」と言います。

しかし、自分のすべてが平均以上だと考える人は傲慢過ぎます。
どこかしらでセーブをかけるのが、それこそ「普通」の人です。
それに、実際のところ皆が皆「平均以上」であるわけがありません。

これは「自分自身をだます」ことによって成立することです。
その点について詳しく解説された新書があります。
菊池聡「自分だましの心理学」祥伝社
就職活動の参考にもなります。オススメです。

Amazon

それによると、この「自分だましの心理」「自分を平均以上と考える心理」
には国によって差があるとのこと。

例えば、「私は人並みの能力がある」という質問に対し、「YES」と答えるのは、
アメリカ人:91%
中国人:94%
日本人:58%

「私は他人に劣らず価値のある人間である:という質問には、
アメリカ人:89%
中国人:96%
日本人:38%

これはアメリカ・中国との比較だけの特徴ではありません。
自分の能力は平均以上だと考える人が、日本人は非常に少ないのです。
自分の能力や手腕に対する評価を「自己奉仕バイアス」と呼ぶそうですが、
その国際調査をした結果が以下のグラフです。

このように、他の国は「どれだけ強いか?」の比較であるのに対し、
日本は「どれだけ弱いか?」というマイナス基準になっています。
明らかに日本人は「自分の能力への評価」が異質なのです。

能力は低いが、「平均以上に優しくて誠実で寛大」と考える日本人

しかし、自分への評価が低い人の特徴は、「鬱病」であることです。
また、自分の能力に対する評価が非常に的確であることも鬱病患者の特徴とされています。

ということは、日本人は「能力」以外のものを「平均以上」と考えて誤魔化していることになります。
それは何かと言うと、「優しさ」や「誠実さ」なのです。
これを大学生を対象に調査した研究論文がこちらです。
心理学研究:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy1926/72/4/72_4_329/_pdf/-char/ja

日本人は、自分のことを一般的な人と比べて、「まじめである」「誠実である」「思いやりがある」「親切である」「寛大である」といった項目に60%〜70%の人が「YES」と答えるのです。
もちろん、その一方で「才能がある」「知的である」「積極的である」「スタイルが良い」といった質問にはマイナス評価する人が多いわけです。

このことから、海外の人たちから日本人が「冷たい」「不寛容」と言われる理由が分かります。

日本人は、自分たちが考えている以上に、本当は「冷淡」で「不親切」なのです。
しかし、自分自身の評価について、
「私は平均的な人よりも優しくて誠実だ」
と考えているので、そのことに気づけないのです。

日本人からすれば海外の人は、
「自分の能力は平均以上だ」と考えているので、
そんな海外の人を前にした日本人は、
「そんなに能力が高くないのに、どうして自信満々でいられるんだ?」
と思うことになります。

ですからその逆パターンとして、日本人を前にした海外の人たちからすれば、
「そんなに優しくも誠実でもないのに、どうしていい人ぶっていられるんだ?」
と思うことになるのです。

自分たちのことを「不親切で冷淡」であると気づけと言っているわけではありません。
もしそんなことをしたら、日本人は鬱病になってしまいます。

日本人にとっては、自分の存在価値とその拠り所は、
「私は普通の人たちよりも、優しくて誠実なんだ」
ということであり、そうやって「自分をだます」ことによって成り立っているのですから。

ただ、そのことをほんのちょっと自覚しておき、何かのときには意識できるといいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました