【大学でいじめがあるって本当?】その原因は近年増加した「大学のクラス制」

キャンパスライフ

大学で仕事をしていて、最近よく耳にするのが「いじめ」のトラブルです。
まさか大学でいじめがあるわけない、と思っている卒業生や現役学生も多いかと思います。
実は、最近の大学業界でにわかに注目されているのが「学生同士のいじめ問題」です。

それまでは、教員が学生に対し主従関係を利用した理不尽な要求や嫌がらせをする「アカデミック・ハラスメント(アカハラ)」や「セクシャル・ハラスメント(セクハラ)」が問題視されていました。
そこにきて「学生同士のハラスメント(いじめ)」があるというのは、驚きをもって受け取られています。

Fラン大学に多い?

いじめをするのは、どうせ社会的底辺な奴らなんだから、きっとFラン大学(底辺大学)に多いんだろ?
と思われるかもしれません。
実際、私が仕事上見聞きする限りではFラン大学と呼ばれる大学で過激ないじめがあるようです。
そのような体験談を記事にしているブロガーもいます。

僕の通っていた学校は、学部によるクラス分けが行われると、高校生活のように年がら年中、ほとんど同じメンバーで講義を受けなくてはならなかった。
(中略)教養はないけれど、腕っ節はあるいじめっ子気質の男がわんさかいた。
Tシャツが張り裂けそうなくらい筋肉が肥大しているマッチョマン、思い通りにならないと暴れ出す肉ダルマ、人の心を傷つけることが生き甲斐なお洒落サイコパス番長。
「なんで教室内にギャングがいるんだよ……」と、身の毛がよだった。
この僕は、しっぺをされただけでも救急車と弁護士と警察を呼ぶタイプだから、暴力は受けなかったものの、「18歳で童貞とか人生終わってね? 何が楽しくて生きているの? 俺がお前だったら、数秒でこの世から消えるわ」ということを耳打ちされたことがあった。

【体験談】F欄大学に通って精神が崩壊し、一週間で退学(除籍)させられた話【底辺】

また、ウィキペディアに掲載されている「いじめ自殺」にまで発展した、「追手門学院大学いじめ自殺事件」です。
大学側の対応の不備もあり、悲しい後追い自殺にも発展して大きくニュースになりました。

追手門学院大学いじめ自殺事件(おうてもんがくいんだいがくいじめじさつじけん)とは、2007年6月8日に大阪府茨木市の追手門学院大学に通う在日インド人学生が神戸市の自宅のマンションから飛び降り自殺をした事件。
いじめを苦にしていたことを示す遺書が残されていたにもかかわらず、大学は調査を行わなかった。
その後、遺族、一部教員、弁護士などからも調査を求められたものの法人側は「大学と小中高(のいじめ)は異なる」「別の弁護士は調査の必要がないと言った」と放置を続けた。
さらには遺族の窓口となっていたゼミ担当教授を、この問題から外し、その上で「遺族から要望がなかったので調査しなかった」とした。
その約1年後に、亡くなった学生の父親も「息子に会いに行く」と言い残し、同じ場所から飛び降り自殺をした。

追手門学院大学いじめ自殺事件(ウィキペディア)

問題は大学の偏差値やランキングではなく、クラス制では?

たしかに、低偏差値の大学には「それなりの学生」「学習意欲のない学生」「社会的不適合度の高い学生」が通常の大学より多くいるように思えます。※すみません、現在の大学状況を素直に表現しました。
そんな学生が多く集まる大学で、いじめが発生するのではないかということですね。

しかし、「いじめ」という現象自体はどこの大学でも発生します。
それは大学に限らず、一般企業でもアルバイト先でも同様で、一流企業でもハラスメント(いじめ)起きますし、逆に低賃金アルバイトだからといってハラスメントが頻発するわけではないのと同じです。


それよりも、最近(2010年頃から)の大学で「いじめ」が目立ってきた原因の一つは、
それこそ最近になって増えてきた「大学をクラス制にして学習させている」ことではないかと思います。

かつての大学では、学校教育で多用されている「クラス制」は採用しておらず、学生各自が履修したい授業で学ぶ方法が一般的でした。
ところが、最近の大学では「同じ学科・コースの学生は、ほぼ同じ授業科目を履修することになるのだから、いっそのことクラス制にして履修管理しやすくしよう」という動きがあります。
みなさんが通っている大学でも「クラス」単位で動いていることは多いのではないですか?

そうすると、学生たちは大学生活を「クラス」を中心にして回すようになります。
クラス制にすれば、授業をいつも同じメンバーで受けられるので安心感や一体感があります。
大学側としても、学生の履修状況を把握したり、履修説明をする手間が省けます。
しかし、クラスは一体感を促進する一方で、「閉塞感」も促進します。
全てが全てとは言いませんが、クラス制は「いじめの温床」としても有名ですよね。
いじめ撲滅のために-クラス制度廃止のメリット、デメリット

実際、そうした「クラス制」が強い教育機関では、年齢が高くても酷いいじめが発生して訴訟問題にもなっています。

防衛大学校(神奈川県横須賀市)の上級生らから暴行や嫌がらせを受けたとして、福岡県内の男性(24)が、在学時に学生だった8人と国に計約3700万円の損害賠償を求めた訴訟のうち、元学生を相手取った訴訟の判決が5日、福岡地裁であった。足立正佳裁判長は8人のうち7人の責任を認め、計95万円の支払いを命じた。1人に対する請求は退けた。
訴状によると、男性は2013年4月の入学以降、上級生らに顔を殴られたり、アルコールを吹きかけられ体毛に火をつけられたりする暴行を受けた。体調を崩して帰郷した後には、遺影のように加工した写真を「LINE」に流された。「重度ストレス反応」などと診断され、15年3月に退学した。

防大いじめ訴訟、元上級生ら7人に賠償命じる 福岡地裁(朝日新聞 2019年2月5日)

学校教育の「クラス」や、会社の「部署」といった閉塞的な空間やシステムは、いじめやハラスメントを誘発することになります。
それが最近の大学で「いじめ」が多発している原因ではないでしょうか。

対処するにはどうすれば良いか

クラス制が導入されている大学でも、全部の授業の動きをクラス単位にしているわけではありません。
「クラスの他のメンバーと反りが合わない」とか、「いじめられているかも」と思ったら、他のクラスに友だち(よく話す知り合い程度でいい)を見つけても良いでしょう。
クラスにべったり依存していると不必要に同族意識が高まってしまい、その中でもちょっと変わったキャラの学生は、(他の人から無自覚的に)いじめの対象になりやすいものです。

また、この記事のタイトルにもあるように「まさか大学でいじめがあるなんて」と思っている学生は、自分が「いじめられている」状態を認識できずにいる場合もあります。
最近の大学は「いじめ問題」にも敏感です。
大学にはハラスメント委員会などが設置されており、相談窓口もありますので積極的に使ってください。

あなたの大学に「いじめ」はありますか?
他の皆のためにも、いじめ問題についてコメントを頂ければ幸いです。
下の方にあるコメント欄にお願いします。


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