グラン・トリノ(2009年)

映画

ジャンル:移民政策系ドラマ、社会慣習・伝統文化系ドラマ
監督:クリント・イーストウッド
主演:クリント・イーストウッド

見どころ

「最近の若い者は・・・」というのは万国共通です。
大学生も今まさにそう言われているところでしょう。
今言われていなくても、社会に出たりアルバイトをすると必ずそういう目で見られます。

「『最近の若い者論』は紀元前から言われていた」
むしろ老害の方が問題という反論もあったりします。

しかし、この手の話はたいてい、若者の、
「身の程知らず」と「共同体を破壊する行為」
に対する老人の不満が元になっているものです。
これは人類史において、延々と繰り返されてきました。

そして、そのうち若者は老人になり、
次の世代の若者に同じことを説くのです。

本作の主人公ウォルト(クリント・イーストウッド)は、
自分の家族であるアメリカ人に「アメリカ文化と伝統の崩壊」を見てしまいます。
さらには、爆発的に増えてくるアジア系移民にも我慢ならない。

こんなものはアメリカではない。
本当のアメリカ人はこんなことをしない。
ウォルトの目には、物事を合理的で商業的に捉え、
快適さと利便性を優先する若者の姿が醜く映ります。

ウォルトの不満は、全世界の老人が自分の郷里に抱いていることなのです。
ところが、そんな彼はアジア系移民と付き合っていくうちに、
彼らアジア系移民にこそ「古き良きアメリカ人」を見てしまいます。

当然のことです。
アメリカは移民国家。
「古き良きアメリカ人」とは、移民のことなのですから。

そして、一見頼りなさげな「移民の男の子」にこそ、
「アメリカの男」になる素質があることを見出します。

ウォルト自身はポーランド系移民。
そんな彼には、イタリア系移民の床屋の友人がいます。
ルーツは違っていても、自身の共同体の伝統を重んじることは、
人類が共通認識すべきことなのです。

アメリカの老人が言う「古き良きアメリカ人」とは、
結局のところ自分のルーツの伝統を重んじる人間のことです。

名言

ただし、タコス野郎のようにルーフを切らないこと。田舎の白人のように車体に炎などペイントしないこと。そして、オカマ野郎のようにリアスポイラーなど付けないこと。あれは本当に最低だ。それを守れるのであれば、あの車はお前のものだ。

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